空き家問題とは何か

弁護士脇田 達也

1 はじめに

 最近、実家に帰ると、周囲に空き家が目立ってきているように感じます。そのうえ、日本の人口は減っていきますので、今後ますます、空き家をどうするかという問題は大きくなっていくでしょう。
 空き家は、都市部の問題でもあります。特に、「マンションのスラム化」は、除却に多大な費用がかかること、関係者が多数であることなどから、解決が困難な問題です。
 老朽化した空き家があまりに増えると、防災・防犯上危険であるうえ、街の雰囲気を暗くしてしまいます。

2 空き家の数と老朽化状況

 平成25年の調査では、総住宅数6063万戸のうち13.5%にあたる、820万戸が空き家です。住宅のほぼ7戸に1戸は空き家になっているのです。空き家率は過去最高を記録しています(総務省統計局平成25年住宅・土地統計調査)。
 空き家のうち、腐食・破損しているのは約24%です。別荘や売れ残りマンションを除く一般的な住宅の空き家では約31%、都道府県によっては40%前後が腐食・破損しているところもあります。

3 対策

 まず、日本では中古住宅が流通が乏しいという問題があります。全住宅取引に占める中古住宅取引の割合は、アメリカで約90%、イギリスで84%、フランスで70%であるのに対し、日本ではわずかに14%にすぎません。諸外国と比べて日本では新築が極端に好まれており、空き家が増える一方で新築住宅が供給される状況になっています。
 さらに、リフォームについての制度が未整備であることも問題です。特に500万円以下のリフォームに対しては事業者に対する公的な制限がほとんどなく、適切な工事を行わない業者もいます。
 このため、中古住宅取引やリフォームを安心して行うことができるために、既存住宅売買瑕疵保険やリフォーム瑕疵保険、あるいは、「住まいるダイヤル」のリフォーム見積チェックサービスなどの制度が設けられています。
 また、近時、各自治体における、耐震診断・耐震補強の補助や、老朽木造住宅の除却費の補助、あるいは、地方自治体等が主催する空き家バンクや一般社団法人移住・住みかえ支援機構など、売買や賃貸のマッチングを行う制度もあります。
 ただし、これらの制度はまだまだ一般的とはいえません。空き家問題の対策は、始まったばかりといえるでしょう。