商品先物取引

 商品先物取引の損害は自己責任だといってあきらめてはいけません。不当勧誘、両建、特定売買による過当取引などがあれば、損害賠償請求ができます。

Q&A

Q1

 私は年金生活者です。最近は銀行の金利が余りにも低いので、何か利回りのよい金融商品はないか、と考えていたところ、石油類や貴金属の商品取引(先物取引)に誘われ、参加してみようと思っていますが、どうでしょうか?

A

 参加してはいけません。商品取引(先物取引)は、わずかの証拠金を預けて、その10~20倍の金額の商品(石油類・貴金属・穀物類等)を買ったり売ったりして、その売買差額の利益を追求する投資取引です。対象商品の価格形成・変動に関する詳しい知識と激しく変動する相場の中で素早く投資判断を行なう商業的能力が不可欠な取引で、預けた証拠金がすぐに無くなってしまう(それ以上の損失を蒙る)危険なものです。商品取引(先物取引)では、参加した顧客の7~8割が損失を蒙って撤退しているのが実情です。しかも商品取引(先物取引)を取扱っている事業者(商品取引員・登録外務員)の中には、素人顧客に対して誠実でないものも多く、商品取引(先物取引)の素人は、近寄らないことが一番の被害予防策です。勧誘が執こくとも、それに負けず毅然として断って下さい。

Q2

 執こい勧誘に根負けして、商品取引(先物取引)に誘い込まれました。早く止めたいのですが、いまが好機です、もう少し我慢すれば(相場が)好転する、等と言って、なかなか止めさせてくれません。どのようにしたら、やめることができますか?

A

 本来、商品取引(先物取引)では、商品取引所法や関連諸規則で、顧客(委託者)が売買取引を止めたいと申出た場合、受託事業者(商品取引員)はすぐにその申出に応じ、売買取引を終了させなければなりません。ところが、ご質問のような口上を繰り返して、取引終了を先へ先へと引き延ばすことが多く見られます(仕切り拒否・仕切り回避と言います)。顧客(委託者)も、利益が出た時に、あるいはそれまでの損失がなくなった/減った時に、終了できたらと後ろ髪を引かれて、ズルズルと引き延ばしに乗せられてしまい勝ちです。しかし、投資行為において、自主性がないまま、受託事業者・その外務員の言いなりになって、ズルズルと引き延ばすことは一番いけないことです。却って、きずを深くする(損失を大きくする)ことになります。きっぱりと、全面的に取引を終了させることを申出てください。それでも、言葉を左右して聞き入れてくれないときは、この分野に専門知識と解決経験を持つ弁護士にご相談ください。弁護士が取引を全面的に終了させ、清算金を返還させる手続きを取ります。

Q3

 「値下がりで含み損失が大きくなったので、オイショウ(追加証拠金)を支払ってください」との請求を受けています。当初の話とは全く違った展開になっているので支払いたくないのですが、どうしても支払わなければならないものでしょうか?また、「リョウダテ(両建て)にする/したので、そのための追加資金を支払ってもらいたい」とも言われています。どうしたら、いいでしょうか?

A

 あなたが、商品取引(先物取引)の素人(初心者)なら、オイショウ(追加証拠金)やリョウダテ(両建て資金)を支払ってはいけません。受託事業者(商品取引員・その外務員)は、オイショウ(追加証拠金)やリョウダテ(両建て)資金を支払わないと含み損失が拡大し、結局、それまでの預託金もなくなってしまう、と顧客(委託者)の不安を煽ることがよくあります。しかし、その言いなりになって、追加の資金を投入すると、更に、その分、損失を拡大することが多くの実例で示されています。不安を煽られて、あるいは後ろ髪を引かれて、ズルズルと追加資金を投入することなく、まずは一旦、きっぱりとあきらめて、オイショウ(追加証拠金)リョウダテ(両建て)のための追加資金を支払わず、その機会に取引終了を申出ることが大切です。そのことによって、きずを浅く済ます(損失が少なくて済む)結果となります。

Q4

 商品取引(先物取引)に誘い込まれ、止めたいと言っても止めさせてくれず、ズルズルと取引が続いた結果、多額の生活資金を失ってしまいました。「自己責任」と諦めないと仕方がないのでしょうか、それともこの損害を回復することができるのでしょうか?

A

 あなたが素人(初心者)で自主的な判断で売買取引を行ったのではなく、受託事業者(商品取引員・その外務員)の言いなりで取引を行ったのが実情なら、あなたの損害を回復することができます。そのような取引のやり方であった場合、それは「自己責任」と言う考え方が働く場面ではなく、本来、受託事業者(商品取引員・その外務員)は顧客(委託者)に誠実かつ公正な営業姿勢で業務を行なわなければならないにもかかわらず、却って、素人(初心者)であることを逆手にとって、あなたに相応しくない売買取引を誘導したことによってあなたに多額の損失をもたらしたと言えるからです。特にひどい事例の場合、売買差益だけでは利益勘定となったのに、余りにも手数料が嵩んで、それらを通算した結果、損失勘定になってしまったという事例もあります(それがまた、ずいぶんたくさんあるのです)。そのような場合、あなたの取引経過を正確に整理分析した上で、損害賠償を求めることができます。受託事業者(商品取引員・その外務員)は、我が社・我が社員は正当だと反論して、簡単には、損害賠償に応じようとはしないでしょう(もし、応じる場合でも、できるだけ少額で済ませようとします)。あなたが正当な賠償を求めようとする場合、この分野に専門知識と解決経験を持つ弁護士にご相談下さい。弁護士はあなたの取引を正確に整理分析した上、受託事業者(商品取引員・その外務員)と交渉を行い、また、民事訴訟を行なって、あなたの損害の賠償を求めます。