欠陥住宅・建築瑕疵
住宅に構造的な欠陥が見つかったときは、弁護士や建築士の協力を得て、住宅紛争審査会の調停や、訴訟で問題を解決をすることができます。
Q&A
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Q1
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取得した住宅が欠陥住宅だった場合,どのように解決すればいいですか?
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A
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前提となるのが,一級建築士の所見です。これがなければ始まらないといってよいでしょう。その後の解決方法は,大きく分けると,任意の交渉,各種の調停,訴訟の3つがあります。
まず初めに,任意の交渉を行います。交渉のコツは,細かい瑕疵にはとらわれず,安全性や耐久性に関わる瑕疵に絞り込んで主張することです。相手方の姿勢や資力に左右されることが多いでしょう。
それでも駄目なら,調停を検討します。調停は,簡易裁判所で行います。また,平成21年10月以降に引き渡された新築住宅などでは,住宅紛争審査会(場所は各地の弁護士会)の調停も利用できます。調停は,基本的に話し合いの手続ですが,間に中立的な立場の一級建築士・弁護士が入ってくれます。
話し合いで解決しない場合は,訴訟によるほかありません。瑕疵が重大な場合(不同沈下,溶接欠陥等)は,賠償請求額が大きくなり,話し合いではまとまらないことが多くなります。訴訟は,年単位の時間がかかります。
なお,訴訟になっても,裁判の手続上で和解することは可能です。建築訴訟は約6割が和解等によって終結しているとされています(最高裁判所事務総局民事局第二課長岡崎克彦「建築関係訴訟の現状と課題」,2010年)。
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Q2
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欠陥住宅問題を解決するためには,専門家に頼んだ方がいいですか?また,その場合の費用はどのくらいですか?
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A
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一級建築士の所見の費用は,一級建築士それぞれによって様々です。(例としては、おおよそ,半日程度の外観検査で5万円程度です。裁判所等に提出するための報告書を作成してもらう場合は,さらに5万円程度かかります。)
その後,相手方の言い分を聞きますが,その際に消滅時効など,法律的な問題を持ち出されたときは,弁護士の法律相談を受けるとよいでしょう。法律相談の一般的な費用は,1時間あたり1万円程度です。
調停を申し立てる場合は,調停は話し合いですし,間に中立的な一級建築士・弁護士が入ってくれるので,専門家に委任しなくても可能です。ただし,構造的な欠陥がある場合や,建築基準法や宅建業法違反を追及する場合には,建築訴訟を得意とする弁護士に委任した方がよい場合もあります。
訴訟を提起する場合は,弁護士に委任するのが現実的でしょう。
弁護士費用については、報酬基準のページをご覧下さい。
また,大規模な瑕疵で,訴訟を行う場合は,一級建築士による鑑定が必要となる場合もあります。この場合,数10万円から場合によっては100万円以上の費用がかかります。
なお,一級建築士へ支払った費用は,勝訴すれば,賠償の対象に含まれるのが一般的です。弁護士へ支払った費用が賠償の対象に含まれるかは,法的構成によって異なります。