旧茶のしずく石鹸アレルギー被害事件について

弁護士日髙 清司

1 4月20日全国一斉提訴

 前回の事務所ニュース近況報告で報告しました旧茶のしずく石鹸によるアレルギー被害事件に関し、全国の15弁護団が、本年4月20日に一斉提訴しました。その後も他地域弁護団の提訴が続き、21弁護団、原告総数658人、請求総額86億8649万円(6月29日現在)となっています。本件事件について改めてご紹介します。大阪弁護団についてはホームページを開設していますのでご参照ください。http://www.chaben-osaka.com/ 各地の弁護団も独自のホームページを立ち上げています。

2 茶のしずく石鹸によるアレルギー被害の発生

 被告(株)悠香(本社福岡県大城市)と(株)フェニックス(本社奈良県御所市)は、2004年3月頃から、(株)片山化学工業研究所(本社大阪市淀川区)が製造した加水分解コムギ末「グルパール19S」を含有する「茶のしずく石鹸」を製造・販売しました。2009年頃、一部の皮膚科、アレルギー科の医師らが、従来の小麦アレルギーとは異なる症状の患者が出現していることに気づきました。目の痒みやくしゃみ・鼻水等の局部症状が先行し、その後、全身の蕁麻疹、腹痛・下痢等が出現していました。しかも、これらの患者は共通して茶のしずく石鹸を使用していることが分かりました。グルパール19Sという加水分解コムギ末が目、鼻、口など経皮を通して体内に取り込まれ、小麦アレルギーでなかった人も小麦を含んだ食品を摂取することによってアレルギーを発症するに至ったのです。専門医が調査・研究を続け、悠香に対しても働きかけ、また、複数の医療機関から患者発生の報告が厚労省にあったことから、厚労省は2010年10月に注意喚起を行いました。しかしながら商品名、メーカー名は明らかにされず、悠香も 2010年12月7日まで旧茶のしずく石鹸(同年9月に加水分解コムギ末成分を変更)の販売を継続しました。旧製品の自主回収を始めたのは2011年5月になってからでした。

3 弁護団の結成

 メーカーが自主回収を開始した後も各地の消費者センターへの相談件数や専門医を受診する患者数が増え続けました。2011年7月に国民生活センターが旧茶のしずく石鹸を使用したことによりアナフィラキシーを発症したケースもある、との危害情報を公表し、マスコミも大きく取り上げました。悠香は有名女優をテレビCMに起用し、主に通信販売で4650万個も販売していたことから、全国各地に多数の被害者が存在すると思われました。そこで、日弁連消費者問題対策委員会PL・情報部会のメンバーが所属する東京、愛知、大阪と神奈川で、NHKの番組「あさイチ」で茶のしずく石鹸によるアレルギー被害が取り上げられる8月1日にあわせて110番を実施しました。その後各地の弁護士会の消費者委員会のメンバーを中心に弁護団が結成され(全国26弁護団)、インターネット回線を利用した会議やメール等で情報を交換し連携して被害者救済にあたっています。

4 訴訟の進行について

 本件訴訟では、茶のしずく石鹸には「欠陥」があり、通常の使用により小麦アレルギーを発症して損害を被ったことから製造物責任法(PL法)に基づいて損害賠償を請求しています。7月6日(金)大阪地方裁判所202号法廷で第1回口頭弁論が開かれましたが、被告各社は請求棄却を求め欠陥や損害について争う姿勢を示しました。一斉提訴後も被害者からのご相談が寄せられていることから、引き続き提訴することを予定していますが、紛争の早期解決を目指しています。