自転車事故に気をつけて

弁護士向来 俊彦

 最近、自転車に関する事故の法律相談が増えています。
 警察庁の発表によれば、平成19年には、自転車が関係する交通事故は全事故の2割を占め、その割合は年々増えているそうです。自転車事故の件数も、10年前と比較すると約2割ほど増加しているとのことです。
 皆さんあまり意識されていないと思いますが、道路交通法では、自転車は「軽車両」に分類されています。ですから、実は、原則として車道(の左端)を走らなければならないのです。歩道通行可の標識があるときは歩道を通行しても構いませんが、その場合でも、車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げるようなときは一旦停止しなければならないと定められています。
 しかし、実際には、車道と歩道がある場合、ほとんどの人は歩道を通行し、歩行者がいるときはベルを鳴らして通行しているのではないでしょうか。車道を走ると、かえって危険だと感じる場合もあると思います。
 このような状況を受けて、道路交通法の一部が改正され(平成20年6月1日施行)、それに伴って、交通の方法に関する教則も、自転車に関する記述が大幅に改正されました。主な改正点は、工事中の場合など道路の状況に応じて歩道を通行できることにしたほか、教則では、利用者の心得として、児童や幼児にヘルメットをかぶらせるよう努めること、片手運転やヘッドホンを使用しながら走行しないこと、など細かなところまで明記されました。
 ところで、最近の相談の傾向としては、自転車が加害者となる事故が増えています。特に、加害者が小・中学生で、被害者が高齢者というケースが目立ちます。
 自転車の利用者は、賠償責任保険に未加入の場合が多く(ただし、住宅総合保険など、何らかの保険に加入していないか確認する必要があります。)、その場合、万一事故を起こしてしまうと、自ら損害賠償を支払わなければなりませんが、賠償金が高額になった事例では5000万円を超えたケースもあったようです。なお、子供が自転車で事故を起こした場合、子供の責任能力にもよりますが、親の監督義務者としての責任が問われます。
 自転車では遠くまで出掛けることが少ないので、事故の加害者と被害者がご近所同士のことが多いのが特徴です。いったん話し合いがこじれるとその地域で暮らしにくくなるなど、深刻な事態に発展することもあります。自転車は運転免許証がなくても誰でも乗ることができますが、乗るときには交通ルールを守り(子供にも正しい交通ルールを教え)、また万一のときのために備えをしておくことも大切ではないかと思われます。